こんにちは。
今月から仕事で毎月飛行機に乗ることになった、「高い」「速い」「狭い」が苦手な竹原です。
中村朱美さんの本”売上を減らそう”を読んだ感想
この本を選んだ理由:売上を減らそう 中村朱美
この本との出会いは、実はジャケ買いに近い。
帯の中村朱美さんの写真が可愛いし、「売上を減らす」という言葉につい食いついてしまった。
読み進む中でこれまでの常識というか思い込みのような、飲食店てこうだよねというイメージを変えることができた。
それは中村朱美さんの考え方がこれまでに聞いたことのないものだったからだ。
僕の実家が飲食店であることも興味を持った理由の一つではある。
まずは「仕事」に関わる仕事をしている僕が面白いと思ったこと。
それは採用基準がGoogloと同じ「今いるスタッフと合う人」ということだ。
シーダシップがある人、コミュニケーション力が高い人、アイデアを出し仕事を作り出すことができるという一般的に企業が求めている人材はいらないという。
従業員同士の人間関係を大事にすることに感銘下が、「従業員が一番大事」と言い切れる経営者の姿に感動した。
そんな経営者に出会いたいと思った。現在でも自分が一番偉い、自分の言うことが一番正しい、売上が悪いのは従業員が悪いと言う話を平気でする経営者がいる中で、残業しないと売れない商品やサービスはそもそもダメだとも著者は言ってしまう。
「仕事は本来人生を良くするためのもの」だから従業員が働きやすい環境を作る。
「心と時間の余裕はベーシックインカムより先に保証されるべき」だから残業を0にする仕組みを作る。
「飲食店の無断キャンセルによる被害額は年間2,000億円」だから予約は受けない。
単純にやりたいことをやっているように見えるが、背景には社会の課題意識と苦労してチャレンジしてきた知恵がある。
例によって今回も気づきが多く、ふせんがたくさん貼ってある。
ただ、これまでの僕のブログは自分で解釈した内容がメインであったが、心に刺さる、視点や切り口が新しい、なるほどがたくさんある、そんな本だったので、今回は珍しく本からの引用が多くなってしまった。
従業員の役割:売上を減らそう 中村朱美
著者は明確に従業員と会社の関係性について述べている。
それは会社のクレド「会社は明日の責任を、みんなは今日の責任を」である。
会社(経営者)は広報や宣伝など明日の売上を作る活動をし、従業員はお店に来てくれる顧客を精一杯幸せにする行動をするということだ。
売上が悪ければ宣伝に責任を持っている会社が悪いことになる。
売上が悪いことを従業員のせいにする無責任な経営者とは雲泥の差である。
従業員一人一人が「1日100食でお客様を最大限幸せにする」という気持ちを持って働いている。
先ほど述べた採用基準で入社したスタッフだけで回すお店であるというだけで安心感がある。
売上を目的に仕事をするということは、他人の人生を生きるということだ。
上司や経営者のために売上を増やす。
怒られないために、評価を落とさないために仕事をする。
従業員は心に余裕がなくなり、仕事の改善すべきところに気づかなくなる。
「いつもやっているから」という理由でやらなくていいことも続けてしまう。
そんな仕事で顧客を幸せにすることができるのだろうか。
ただ従業員が疲弊するだけではないか。
僕もそんな組織にいたことがあるし、今もそういう風潮が強い。経営者やマネジメントが他人事のように売上を従業員に押し付けている組織は、売上が落ちて当たり前だ。
「売上は経営者が責任をもつ、従業員はできることをやれば良い」という考えを知るべきだ。
経営者の役割:売上を減らそう 中村朱美
佰食屋のクレド「会社は明日の責任をみんなは今日の責任を」の経営者の役割である明日の責任とは何か。
一つは仕組みで誰もが売上をあげられるようにすること。
肉の調理のあえて時間をかけて、非効率で差別化をするという実例が書かれていた。
そしてもう一つは、環境を作ることだ。
経営者は事業を成長させたいが、従業員は自分の時間がほしい。
そのギャップが壁を作る。ではどうすれば良いのか。
それは、みんなが気持ち良く働ける環境を作り、長く勤めてもらえる従業員ばかりの組織にすることだ。
例えば家事に自身があるスタッフをホールからキッチンに移したり、個性を生かした役割を与えたり、人間関係がうまくいくような配置をしたり。
従業員それぞれのことをよく理解し配置することでお店は自然と回っていく。
従業員が職場で孤立し仕事に行きたくなくなること、そして従業員が1人でもいなくなるとお店が回らなくなるという状態は経営者の責任であると著者は言う。
仕事を早く終わらせて自分の好きなことができる時間が持てること、会社がそれを認めてくれることが従業員との関係性を良くする。
そして従業員に「あなたを大切にします」というメッセージを伝えれば、従業員は会社を大切にしてくれる。
楽しく働けてお客さんが幸せなら:売上を減らそう 中村朱美
フードロスという言葉をよく聞くようになった。
廃棄と呼ばれるものも含まれるが、日本人1人あたり、食べられる食料を毎日茶碗1杯分捨てていることになるらしい。
そんなもったいないことをしているのだ。
そこに来て予約のドタキャン被害。
飲食店はリスクが高いように感じる。
予約制にしないこと、100食限定にすることはその社会の課題を解決に向かわせている。
売上を減らすための取り組みが信頼を呼び、ファンを増やすことになる。
減らすことで増えることになるのだ。
逆に売上を増やそうとして100食を超えて販売することは色々な面でリスクが伴う。
従業員い残業を強いることになる。
売上が減れば従業員を鼓舞する必要がある。
がんばっている人に「がんばれ」と言いたくないというのが著者の考えだ。
自分がやりたくないことをやらせることをしたくないということ、もっとがんばれと従業員を追い込んでしまうことをしたくないという。
何と素晴らしい考え方だ。
この本はできるだけたくさんの経営者に読んでもらいたい。
そして社会問題と言えば労働時間。佰食屋には残業がない。
17:45で従業員は退社する。残業がないことで好きなことをやる時間がある。
僕はこのブログを朝から書いている。
書きたいと思って目が覚めた時は深夜3時だろうと起きて書く。
多分健康には良くないように思う。仕事が早く終われば帰って書ける。
仕事を短時間精一杯やって、帰って精一杯本を読んでブログを書くという生活にしたい。
自分が経営者になったら自分が働きたくなるような会社にしたいと思う。
そして著者同様、仕組みで人を幸せにできるようになりたい。
従業員が「楽しく働けて、お客さんが幸せならそれでいい」という考えを持てるような会社が増えれば良いと思う。
やってみよう:売上を減らそう 中村朱美
著者は「自分で決めて行動できることが幸せな人生だ」という。
確かに人が決めたことをするのは他人の人生を生きることになるので、幸せではないように思う。
多様性と変化の時代に「幸せ」を一つの概念で表現することはできないが、他人の人生を生きることが幸せではないことはわかる。
そしてこの本を読んでわかったことは、目の前のお客様を幸せにしようと思って仕事をすれば、お客様は自然と増えていくということだ。
「未来」だけを思い描いてじっとしているよりも、「過去」を引きずって立ち止まっているよりも、今目の前にいる顧客に精一杯幸せになってもらおう!
今すぐにやるべきことは、自分の人生の「現在」を生きるということだ。
自分の人生、自分で守る!